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新潟県の子どもはなぜ虫歯が少ないのか? その3

 掲載3回目。新潟の取り組みは全国に広がって来ています。

 

新潟県の子どもはなぜ虫歯が少ないのか?

 

新潟県の小学校でのフッ素洗口実施率89%、全国は19%

 県や市町村、歯科医師会、新潟大学が連携しながら、学校を軸に歯の予防と管理を進めていったというわけです。2008年に県は全国に先駆けて「歯科保健推進条例」を制定。フッ素の利用を盛り込んだ歯科保健の推進体制は現在も続いています。新潟県の小学校でのフッ素洗口の実施率は89%、全国平均は19%です。

 

 葭原さんは「フッ素洗口は重要ですが、それだけではありません。甘い物は時間を限って摂取するといった生活指導や、歯磨きやフロスの指導。さらに歯科検診後に治療や予防処置が必要な子どもたちが歯科を受診したかどうかを、学校でフォローする体制を整えたことも虫歯の減少に効果がありました」と話しています。口腔(こうくう)保健推進の起点になった弥彦小学校を、葭原さんたちは「予防歯科の聖地」と呼んでいます。この小学校の名前は地元新潟だけではなく、子どもの歯に関心のある歯科関係者の間では広く知られているそうです。

 

 新潟県の経験を見ると、小学生のむし歯はフッ素の活用を含め学校の取り組みで減らすことができそうです。厚生労働省は2003年に「フッ化物洗口ガイドライン」を発表し、フッ素洗口推進の方針を明確に打ち出しています。4歳児から老人まで虫歯予防に有効で、安全性に問題はないとして、フッ素洗口の具体的な方法も示しています。これを受けて、全国の自治体の取り組みが活発化し、幼稚園や保育園、小学校、中学校でのフッ素洗口は増えてきました。賃金グラフの右寄りにある佐賀県なども、積極的に取り組んで虫歯の減少に成果を上げてきました。

フッ素洗口に反対する声も

 各地が新潟のようにフッ素洗口や歯科教育など歯科保健活動を進めていけば、地域間の格差は縮小していきそうなものですが、そうはいきません。フッ素利用には反対の声もあり、学校での導入に足踏みする地域も少なくないからです。例えば、日本弁護士連合会は2011年に「集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書」を厚労省、文科省、環境省に提出しています。安全性、有効性、必要性に否定的な見解もあるのに、学校など集団での実施は自己決定権を侵害するという趣旨です。

 

 小学校でフッ素洗口を実施するには、行政と教育委員会が意思を統一して、それから学校の意見を聞いて、さらにPTAの了解も得ていく手続きや予算が必要です。国が「安全」と判断して推進の旗を振っても、見解の相違があり、簡単には進まないようです。指導的な立場のある県の歯科医に「フッ素洗口は広がっていますか」と尋ねると、「うちの県は反対する教職員の団体が強いから無理」と話していました。

 

 日本の医療文化なのでしょうか。風邪はウイルスが原因ですが、効果がないにもかかわらず、細菌を殺す抗菌薬(抗生物質)が広く処方されてきました。こうした「治療」を名目にした薬物の乱用に反対する社会運動は起こりませんが、集団で行うという要素があるとは言え、「予防」に薬物を使うとなると、激しい反対論が巻き起こって公共政策を左右する傾向があります。

author:松岡歯科医院ブログ「ちょこっと聞いて」, category:歯に関する情報, 08:34
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